「なんとなく不安」を言語化する技術 — 曖昧な気持ちの構造化ワーク

はじめに:理由のない不安が止まらない時
「なんとなく不安」「理由は分からないけど焦る」。
そんな状態に心が包まれる瞬間は、誰にでもあります。
しかし、ぼんやりとした感情は、放っておくと私たちの思考や行動を静かに蝕んでいきます。
本記事では、その“言葉にならない感情”を見つけ、整理し、扱いやすい形にするための、
実践的な言語化ワークをご紹介します。
「なんとなく不安」の正体とは?
「不安」という感情は本質的に「未決定の可能性」に由来します。
それはまだ起きていない未来への過剰な投影であり、現在の構造の不確実性が作り出す感覚です。
神経科学者アントニオ・ダマシオは『感じる脳』の中で、
感情を「身体の変化として先に生まれ、あとから認識されるもの」と定義しています。
つまり、不安はまず「感じるもの」であり、「考えるもの」ではないということです。
言語化とは、“切り取る技術”である
心理療法家の河合隼雄はこう述べています:
心の問題とは“形がない”がゆえにややこしいのです
曖昧な不安に対処するためには、それを形にしていく“言葉”が必要です。
ここで大切なのは「言葉にすること=正しさ」ではなく、
言葉にすること=“認識できる大きさに分割する”ことです。
ウィトゲンシュタインは『論理哲学論考』において、
「言語の限界が、世界の限界である」と述べました。
逆に言えば、言語化できれば、世界(と自分)を“扱える”ようになるのです。
構造化の第一歩:3つのスクリーニング質問
- これは“何に”対して起きている不安だろう?(対象)
- 私は“何が”怖いのだろう?(恐れの構造)
- この不安は“どの時間軸”に属している?(過去・現在・未来)
これだけでも、不安は“全体を覆う靄”から、“具体的な影”へと変わっていきます。
5W1Hで感情を粒度分解するフレーム
- What:どんな感情か(不安、焦り、怒り、緊張 etc.)
- When:いつからその感情が続いているか
- Where:その感情はどの場面・領域で起きているか
- Who:誰との関係性で引き起こされているか
- Why:なぜそう感じるのか(仮説でもOK)
- How:身体的にはどう表れているか(胸が重い、手が冷たい etc.)
ポイントは「わかるところからだけでも埋める」こと。
情報が一部でも“見える化”されることで、脳は冷静さを取り戻していきます。
不安をマッピングするシンプルなワーク
- 紙の中央に「なんとなく不安」と書く
- 周囲に、その不安が関係していそうな言葉・出来事・人物を“連想ゲーム”のように書き出す
- 書いた言葉に対して「これに不安を感じるのはなぜ?」と1つずつ問いかけ、線でつなぐ
こうすることで、不安の“構造”が浮かび上がってきます。
ドゥルーズの言葉を借りれば、「感情とは差異の束である」。
つまり、切り分ければ“扱える感情”になるのです。
曖昧な感情を、流れにのせるために
意味とは“世界に投げ込まれた不安”に、座標を与える試みである(マルクス・ガブリエル『意味の場』)
不安を消そうとするのではなく、意味のある文脈へつなぎ直すこと。
それが、私たちが毎日感じる「なんとなく」を、ただのノイズではなく、
自分の輪郭を知るヒントへと変えてくれるプロセスです。
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