感情に流される人と、感情を「材料」にする人の違い

感情に「流される人」と「使う人」の違いはどこにあるのか?
怒り、不安、焦り、モヤモヤ。
人は感情を完全にはコントロールできません。
でも、同じように揺れた時に「流される人」と「材料にできる人」がいるのはなぜでしょうか?
その差は、感情の扱い方に“構造”があるかどうかです。
感情は「情報」である
感情は、ただの“気分”ではありません。
それは、何かのニーズや意味を持った“反応”です。
たとえば、イライラするのは「期待と現実のズレ」があるから。
不安になるのは「未来が読めない」から。
つまり感情は、自分が何を大事にしていて、今どんなズレが起きているかを知らせてくれる“信号”なのです。
感情に流される人の特徴
感情にのまれる人には、ある共通点があります:
- 感情を「正しい/間違い」でジャッジしてしまう
- 思考よりも反射的な行動に出る
- 感情が出ていること自体に気づいていない
この状態では、感情=事実となってしまい、判断や行動の選択肢が極端になります。
感情を「材料」にできる人の構造
一方、感情をうまく使う人は、感情を“主観のまま”扱わないという習慣を持っています。
彼らがしているのは、次の3ステップ:
- ① 気づく:「いま、自分は◯◯を感じている」と言語化する
- ② 掘る:「なぜそれが湧いたのか?」の背景や前提を観察する
- ③ 使う:「この感情は、何を大事にしたいというサインか?」と意味づける
このステップにより、感情は判断の“補助材料”になり、行動の質が整うのです。
『星の王子さま』に見る、感情を“問いに変える”姿勢
サン=テグジュペリの『星の王子さま』には、王子がバラを残して旅に出る場面があります。
最初は「バラは自分を大事にしてくれない」と傷つき、惑星を巡りながら感情に揺れ続けます。
でも最終的に彼は、「本当に大事だったのは、バラを通して自分が感じたものだった」と気づきます。
この旅はまさに、“感情に流された経験”を“問いと意味”に変えていくプロセスの象徴です。
感情を否定せず、「なぜ傷ついたのか」「なにを望んでいたのか」を丁寧に見つめ直す。
この姿勢が、感情を“材料”に昇華させる第一歩なのです。
『EQ こころの知能指数』に学ぶ感情の扱い方
ダニエル・ゴールマンは、EQ(心の知能)を「感情の識別・理解・利用・調整の力」と定義しました。
「知能の高さよりも、感情をどう扱うかが、人生や仕事におけるパフォーマンスを左右する」
この視点から見ても、感情を“敵”ではなく“資源”と見なす力が、行動の安定と結果を左右するのです。
「怒り」が示すニーズを構造化すると
たとえば「怒り」は、単に沸騰する衝動ではなく、以下のような要素で成り立っています:
- 背景の価値観:自分にとって「当然」と思っている前提
- 傷つき・違和感:その価値観が脅かされたときの痛み
- 守りたいもの:本当は大事にしたい人・関係・信頼
この構造が理解できると、怒りの行動が「破壊」ではなく「修復」につながるようになります。
ビジネスの場でも感情は「判断素材」になる
たとえば:
- プレゼン前に緊張する → 自分がその仕事に本気で向き合っている証拠
- モヤモヤが消えない会議 → 議題の不明確さ or 合意形成が不十分
- 苛立ち → コントロールできない状況に「整理の必要」があるサイン
このように、感情を「内面のノイズ」ではなく、“シグナル”として扱うことが行動の精度を高める鍵です。
まとめ:感情は抑えるものではなく、設計に活かすもの
感情に振り回されるか、活かせるかの違いは「思考の順番」にあります。
湧いてきたものを否定せず、観察→構造化→材料化することで、感情は“資源”に変わります。
「こう感じた自分はダメだ」ではなく、「なぜそう感じたのか?」と問うことが、行動を整える最初の設計です。
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- 『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン
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